整形以外の豊胸術(バストアップ)
女性たちのバストの悩みに応えるかのように、世の中にはさまざまな豊胸術があふれています。中には「手術しないで豊胸」などと、その効果を宣伝しているものも見受けられます。美容整形よりも手軽に、しかもお金をかけずに豊胸できるとなれば、女性にとっては見逃せないでしょう。
豊胸体操などの運動によるもの、サプリメントやコスメによる豊胸を図るもの。また豊胸効果を高めた補整下着なども各種登場しています。その他、マッサージや鍼灸によって豊胸を図るものなど、枚挙にいとまがありません。
確かに、美容整形の豊胸術は女性にとって敷居の高いものでしょう。大切なバストを手術するというだけで抵抗感は強いでしょうし、費用も高額です。当院の脂肪吸引・注入によるコンデンスリッチ豊胸の他、プロテーゼ法やヒアルロン酸など、色々な手術方法が選べるようになった現在でも、もっと手軽な方法で豊胸ができるのであれば、試してみたくなるのが人情というものです。
ですがこれらの豊胸術にどれほどの効果が期待できるのかというと、かなりの差があるのではないでしょうか。また人によっても、その豊胸効果にはばらつきが出てくるようにも思えます。
世の中にあふれる多くの豊胸術。その代表的なものについて、少し検討してみることにしましょう。
豊胸体操で胸は大きくできるのか
まずは「運動で豊胸する」という方法ですが、これはバストのふくらみを大きくするものではありません。そもそもバストは乳腺と脂肪で構成されていますので、腕や脚の筋肉のように「鍛えれば大きく、太くなる」というものではないのです。そうした意味では、効果はないと言えます。
ですが胸の筋肉を鍛えることによって胸の厚みは増します。つまりバストの土台が高くなりますから、胸囲は大きくなります。また胸の筋肉を引き締めることでバストの下垂を防ぎ、引き上げるという効果も期待できるでしょう。
また体操ではありませんが、ヨガや整体で豊胸する、という方法も知られています。これらは姿勢を矯正することで胸を張らせ、バストを大きく見せるという作用であるようです。
いずれも続けることである程度の効果は見込めるかもしれませんが、バストそのものを大きくできるかというと、そこは疑問の残るところです。
サプリやコスメの豊胸効果は?
「バストを成長させる」という成分を加えたサプリや「お肌に塗るだけで豊胸」といううたい文句のコスメ。価格が手ごろなこともあってか、若い女性にはたいへんな人気だそうです。ですがこうした製品については、効果はほとんど期待できないと考えた方が無難です。
バストの大きさや形には、まず遺伝的な要素が大きく影響します。次に、成長時の生活環境…食習慣や運動などが作用します。ですからサプリのように「口に入れるもの」によってバストの大きさが左右される、ということはあながち間違いではありません。ですが現在のところ、バストだけを成長させる特定の成分というものは見つかっていません。また、そうした成分があったとして、誰にでも効果が表れるのか、すでに成長期を過ぎた方でも大丈夫なのかということは、まったく別の問題です。
ローションやジェルなどのコスメについても同様です。これらの製品のすべてを検査したわけではありませんから断言は避けますが、こうしたものの中には「血行を促進することでバストを大きくする」というものがあるようです。
確かにバストには多くの血管が走っており、これらの血管が膨張することで、実際にバストは大きくなります。ですがそれはあくまでも一時的な生理作用であって、そのままの状態がずっと続くわけではありません。もしもそんなことになったら、むしろ健康に悪影響が出るでしょう。そうしたことを理解したうえで、試してみるようにしてください。
補整下着で豊胸を図る
バストを包み込む下着によって豊胸を図る、という方法です。手軽に使えるブラから本格的な補整下着まで、数多くのラインナップがあるようです。着用している間はバストをしっかりキープしてくれますから、美しいバストラインを維持することができます。少々息苦しく窮屈かもしれませんが、サポート効果が強いものはそれだけ補整効果も高いので、形やサイズをしっかり選べば、見た目の豊胸は図れるでしょう。
ですが下着による補整効果はあくまでも着用している間だけのもの。外してしまえば元通りです。「長期間着用することで、脂肪を移動させバストに集中させる」という誤解もあるようですが、脂肪というものは本来、体内で移動するということはありません。つまり下着によって本質的な豊胸ができるかと言われれば、残念ながら期待できないということになります。
なお、成長期の若い女性にとっては下着選びは重要なものです。形やサイズの選択を誤るとバストの成長に悪影響を及ぼすこともありますから、注意が必要です。
その他、数多くの豊胸術があるけれど…
これまでに挙げたほかにも、マッサージや鍼灸、さらにはレーザーや特殊なライトによって豊胸するというものもあるようです。これらの多くは前述したような「バストの血流を高めて大きくする」というものがほとんどであるようです。ですから効果があったとしても一時的なものに過ぎませんし、誰にでも同様の効果が得られるのかという点については、ほとんど触れられていないようです。
また、中には「腕や脇腹の脂肪をマッサージでもみ出し、それをバストに流し込む」という理屈を掲げているものも見受けられますが、これは明らかに誤りです。脂肪は皮膚の下で、周囲の組織としっかり結びついています。数十分のマッサージ程度で押し出されたり、移動したりといったことはありません。もしそんなことがあれば、フローリングの硬い床にひと晩寝ただけで、体型は変わってしまうことでしょう。就業時間のほとんどを椅子に腰掛けて過ごすデスクワーカーの方々は、みなお尻が真っ平らになってしまいます。
数多くの豊胸術が宣伝されていますが、その効果にはかなりの差があり、中には明らかな間違いもまぎれ込んでいます。そうした点については十分に注意するようにしましょう。
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